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​ある世界で

山の上にある山頂にそびえる城、それが私たちの国だ。
人間がいれば個々とした考えが生まれる。
それらが対立することだってある。
そうして弱い者は駆逐される。
当然の摂理だ。
強いものはそこに留まる。
他の強いものが入ってきてまたそれがくり返される。
弱い人間はどうすればいい?
自衛、集団となって固まる。
人が滅多に来ないような場所に隠れる。
そのような過程を経て成立した国がサリルノという国だった。
人が寄り付かない山の山頂に住み着き、集団でレンガを使って強固な壁を作った。
内部にはすぐに隠れられるように城を。
そこで逃げてきた人が住む。
国、というよりも巨大な家族と言った方がうまく形容できていそうな国だ。

---僕はこの国が大好きだ。

もちろん僕らの国を国とと認めていない周辺の国々の方が多い。
けれど今の時代、国という規定が定まってもいないのだ。
多くの人間が集まり、そこを国なかまだと呼んだ。
僕にとってはそれで十分だ。

「ったく、シレントの連中は!」

どうしたのですか、お父さん。と問いかける。

「シレントの連中がここの土地を寄越せと言ってきたんだ。」

何様のつもりだ。お前らが俺たちの祖先を迫害したからわざわざこんな場所に逃げてきたっていうのに・・・

続く言葉。
その怒りの言葉は収まらない。

「僕たちはもう昔とは違います。彼らもこちらの戦力は分かっているはずです」

ああ、散々痛めつけてやれ、やつらが俺たちに何をしてきたか・・・。

と続いていく怒りはやむことは無い。
分かっているのだ。
こんな言葉を吐かせているのは過去の因縁だ。
因縁であり、私の父がこのような言葉を自発的に使っているわけではないのだ---






僕の仕事は近隣警護だ。
このご時世、異民族や盗賊などが出るわ出るわで自衛弾は必要不可欠なものなのだ。
普通は集団で行うものだが僕は一人で行わせてもらっている。

数パーセント以下という低い確率でこの世界には調律という力を使うものがいる。
僕にもそのまねごとが出来るのだ。だから、一人で行うのが僕にあっていた。
人の気配がしてそっと立ち止まる。

「こんにちは、こんなところにどなたですか」

城の周りは木で覆われている。
彼女はその草の茂みからぴょこっと姿を現した。

「こんにちは。君はサリルノの騎士?」

「騎士ではありません、サリルノの警護を行っているものです。まずあなたの自身の潔白を証明したほうっが良いと存じますが」

そうだったね、失礼、と彼女は胸ポケットから勲章を取り出した。

「私は旅人。これが一応ユーレアの人って証になるのかな?」

「ユーレア・・・」

僕の住む世界には大きく分けて国が三つある。
(ユーレア)、(アトカ)、 (トネ)

ユーレアとトネは比較的近代的で国家と呼べるのかもしれない。
アトカは完全的に名目的なものだ。
いくつもの国が連なる形でアトカと呼ばれている。

「ユーレアの人が何のご様子ですか」

「探し物、かな」

怪しげな笑みを浮かべる。
君だってこの小さなお城の国が好きでしょうと呟いて。

「どういう意味ですか」

「うん、ちょっと怪しげな感じがしたから観光をしに来たんだ」

「探し物...?」

そう、探し物でね、少し困ってたんだ、と言うと少し目を伏せて

「サリルノの国に入れなくてね...!」

当たり前でしょう、と呆気に取られて言った。
近くによると逃げられるんだよね、追いかけるわけにもなあと笑って困ってたんだ~と話す。

サリルノは逃げてきた人が多いから警戒心が強い。
その歴史柄多くの難民を受け入れるとはいえ排他的な傾向があることは否めない。

「あなたは違う国のしかも観光客とかいうふざけた理由で国に入れるとでも思っていたんですか...?」

城壁よじ登ろうかと思ったら見つかっちゃってねーと悪びれもなく笑う。
この人はここで追い返した方が良い気になってきました。

まあまあ落ち着いて?私は役に立つんだよ?とまた奇妙なことを言ってくる。

「それで取引に中に入れろと...?」

もちろん、という頷きを持って彼女は返す。

わかっているとは思いますが、と前置きをしてサリルノは自給自足で困っていることは何も無い、と断りを入れる。

「そんなのわかってるよ?私が与えるのは情報だ」

「情報。この自分たちで守らないといけない国ではそういったもの、重要になるんじゃないの?私は旅人だから、そういうのには強いんだよ」

では聞きましょう、と告げたところで

「貴方じゃ理解出来ないから城の支配者に話を通しなさい。」

「...許可が取れるとは思えませんが」

「言う前にやりなさい?」

国へ戻る。
あっさりと許可はとれて彼女は国に留まることとなったらしい。

そのような事を聞いてなにか浮かない気分だった。
夜の自衛にまわる。
僕はこの手の警備は大得意だ。
だってーーー

「やっほー嬢ちゃん、何してるの?時間ある?」

ほら来た。
全然嬉しくないのだが。
僕はよく女に見間違えられるらしい。

「...僕は男です。それから治安の参考にするためお名前をお聞きしますね?」





今日も自衛だ。
朝早く起きて城の周囲をまわりに行く。
繰り返される日常だけど、それは僕にとっては誇りでもあった。

「わっ!」

「え?」

「...お兄さん誰ですか?」


集会には見なかったような・・と不思議な顔でこちらを見つめている。

少女?
見かけない顔だった。
こちらが困惑しているとそれを読み取ったように少女が話し始める

「私は昨日からここにいるケルヒ。昨日の周回で話に出たはずだけど...」

「昨日の周回...は」

あの旅人のせいで出れてないんだった。

「ケルヒ...さんだね。よろしく。僕はイアペトゥだよ。」


よろしくお願いします、と一礼をして去っていく少女。

「不思議な子だね」

と鋭い目をケルヒに注ぐ。

「旅人の人...」

「私の名前はイェフトだよ」

「はあ、イェフトさん、こんな朝早く、から・・・?」

「そう、この国の騎士さんとちょっと近隣の見回りに起きたんだ」



君はまだ知らなくていい。
気に食わないのではなく、それはまだ知る段階にないんだよと追い払われた。
いつものことだ。だがあの旅人一人に何の力があるというのだろう。

ザザッという草の音。
そちらを見てみる。

「ここにある木の実を食べてみたいの。ひとつくれない?」

朝に聞いたような声だ。
あきれたように言う声、

「これは高価なものだからお前にはやらんっ。ちゃんとお店でだな・・・新入りだからこのスタンダートならやるが・・・」

「えーケチ―いいじゃん一つぐらい!・・・じゃああ勝負しよう?私が買ったらその木の実を貰うわ。」


私が負けたら・・・そうね、一つだけお願いを聞いてあげるわ、と微笑んで言う少女。
冗談だろうと商売人は苦笑いする。
あの顔には見覚えがある。

(朝の・・・!)

なんでこんな場所にいるんだよ、と心の中で悪態をつきながらその現場へ向かう。
自信満々に言うが相手はサリルノの商売人の上格闘技をやっていた人だ。
サリルノは何しろ小さい国なのでだいたいの人物は把握している。
あの人は温厚な人だけど商売には厳しい。

そこでストープッ!と前に躍り出ようとする前に勝負が終わっていた。

「は・・・?」

そんは馬鹿らしい声を漏らしてしまうほど彼女は勝負に勝っていた。
やったあ、私の勝ちね。じゃあこの木の実は貰うわ。
そう微笑んでとっていく。

「ちょ、君!」

あ、朝の兵士さん。
これ欲しいの?と聞いてくる。
そういうことじゃなくて、とあきれて

「君、なんでこんな強いの?調律の力とか持っているんじゃ・・・」

と言いかけたところで異変に気付く。
見るからに少女がおびえていた。

「そ、そうですけどっでも、私は人に害なんて及ぼしません!」

え、そいうことじゃなくて、自分も調律師で、そのなじみで少し親近感を持ったんだよ、と諭す。
それと先輩として言っておかないといけないこともある。
そういう力あるなら先に言っておかないといけないじゃないか、と。

少女はぽかんとした顔をして、質問を投げかける。

「こわくないの?商売人のおじさんは調律師を」

「力で守ってくれているからなあ。それに同じ人だから才能を持っている持っていないかの違いだと思うが・・・あとそれはやるよ。勝負には負けるし、高価なものはあげることになるしで散々だな!」

と笑う。


その、と少女がこちらを向く。

「ありがとうございます」

「うん、貰った時にはそういわないと。・・・その前のことは抜きにしてね」

そういうことじゃなくて、と顔を伏せて

「調律師だからって差別しなかったこと。それにありがとうってそういいたくて・・・」

商売人と顔を合わせる。

「当たり前だよ」

と微笑みかける。
僕はこの国しか知らない。
だから、他の国がどういう習慣をもち、どういったものを美しいと思い、見にくく思うのかも知らないのだ。

二人を城に送り返して僕は従妹の家へ行くことにした。

この国は周りを城に囲まれてはいるがいたるところに庭がある。
それも家が建てれるぐらいの。
国民たちはそのような場所に家を建てて住むのだ。
城の国というよりも周りを城に囲まれている国とでも言った方が良いかもしれない。
城だからと言って王族貴族が住んでいるわけではなく、家の持たない国民が住んでいる。
小人数だから直接選挙が可能であり、そうして選ばれた人間がこの国のリーダーをするようになっている。

「こんにちは。おばさん。」

「あら、イアペトゥさん。」

お元気にしてますか、と世間話をして家へ上がる。

「こんにちは。・・・姉さん。」

おばさんはずいぶんと良くなった。
数週間前に子供が病気で亡くなったのだ。
夫もいないため、一人では不安だと思い、ちょくちょく足を運ぶようにしている。

お線香をともして遺影に手を合わせるのは未だに慣れない。
つい数週間前まで一緒にいた人物なのだ。
いっしょにご飯だって食べた。笑いあった。そこにいたのに、いないのだ。
まだ近くにいる気がする。まだいなくなった感覚がしない。
それは僕がこの現実から逃げている証なのかもしれなかった。

「わざわざいつもありがとう。そう、こないだのギターはどう?」

「僕に勿体ない限りです。・・・日々研鑽を重ねています。」

まだ、演奏には程遠いですが。と苦笑する。
遺影に振り返り立とうとする。
まだ感じる、あの冷たさ。
最後に頬に触れたときに感じたのは絶対的な冷たさだ。
亡くなってからの数日間はまるで夢のようでよく覚えていない。
けれどあの冷たさを感じて僕はやっと夢から解き放たれた感覚がした。
涙を抑えるのに必死だった。
もっと、沢山話をしたかったと思ってももう遅い。

「おばさん、僕はこれでもう帰りますが、どうかお元気で。今度一緒にご飯でも行きませんか。父と・・・母、妹も弟も喜びます」

ありがとうという声を受けて帰途に着いた。
まだ夢の感覚は解けないようだ。

ただいま、と城の一室---僕の部屋へ滑り込む。
父と母は仲が悪く別居している。
勿論、父にも母にも会いに行っていはいるが。
それに僕には二人の兄弟がいるのでそれぞれ二人で暮らしている。
僕はどちらに寄るのも悪いので城の一人部屋を貸してもらった。
傭兵みたいな職業についているのだ、当たり前と言えばそれまでだが‐‐‐
兄弟関係でいうと僕が一番の年上だ。
シャワーを浴びてベットへ座る。

立てかけてあるギターを手に取り、練習をはじめる。
まずはベーの音を合わせる。
生前、従妹に教わっていたのだ。

「私が死んだら、ここにある本ももう使う人がいない。だから、君が持って行っていいよ」

そう、その言葉が心に残っている。
死ぬなんて、と笑ってごまかした。
けれど来るのは抗えようのない現実だ。

「よし、次はドから・・・」

従妹はよく子供たちの遊び場や老人たちの集まりへ行ってギターを弾いていた。
僕も聴いたことがある。楽しそうで、死ぬ直前までギターを弾いていた。
趣味は人を生かすのだろう。
思い浮かべては消えていく風景。
僕はギターを弾く手を止めていた。

「まだまだ従妹には届かないや」

そうやって笑う。
日々の練習が大切だと心に改める。
大切な日々が終わってしまうのは一瞬だ。
だから僕は生きている一瞬一秒を証として生きたいのだと思った。
布団の間に体をたえる。
目を閉じてそっと眠りにつく。
どうか安らかな眠りであらんことを。










ここにも被害が及ぶのは防ぎたいなあ。という声が聞こえた。
よく聞こえる空耳だ。
医者にみてもらったところ問題なしとのことなので調律の副作用かもしれないなということで結論付けていた。
いつもの警備コース。

「こんにちはー!どうしたの、今日も自衛?」

「自衛は毎日やるものですから」

その前に君はどうしてここにいるのかなと問う。
勿論問う少女はケルヒだ。

「ここは私の庭なの。時々変な人が来るけど私の前ではかぼちゃも同然よ」

とふふんと胸をはる。
かぼちゃを使うのは緊張しているときではなかったかと思ったが、その質問をぐっと飲みこんでケルヒに帰るように忠告する。

「危なくないよ?だってイアペトゥと同じぐらいの力なら持ってるもの」

城の中では色々なものが見られない、本があると言ったって本物の経験には敵わない、と述べる。
サリルノの国に来た当初は習慣などの違いで馴染むのが難しいんだよなということを思いつつ、僕は一つの提案を思いつく。
・・・甘いなあと思いつつ、思いついた提案をしてみることにした。

「じゃあさ、僕のパトロールコースで遊ばない?それなら君の安全もみれるし、君だって外の景色も見れると思うんだけど」

いいの?とケルヒが目を輝かす。
良かった。交渉は成立みたいだ。

ケルヒは多くのものについて興味を持ち、どこで知りえたのか多くの知識を持っていた。
あの木の実は・・科なのよ、だとか食べられるものや食べられないもの由来など。
僕の知識では全く歯の立たないものばかりだ。
こんな知識が役に立つなんてねと本人も語っていたため、多分合間にみた知識なのだろう。
この時代は安定がしてなく、なかなか学芸が発展していない。
本は印刷技術が確立してはいるが書かれる内容が少ない。
学芸を奨励してはいるが、そんなことより武勇を立てようとするものも少なくはない。
僕は知識を学んではいったがどうしても実用方面しか見ることが出来なかった。
食べられる植物だとか、天体だとかは得意な人に任せておけばいいのだと思った。
何より、自分は特別な調律の力を持っていた。
その力を生かさなければ間違いの気がしたのだ。

「城についちゃったね」

というケルヒの声で我に返る。
そうだね、つまらなかったかな、と問いかけてみる。

「全然っ。一人でいるよりも多くのものが見えるんだね、イアペトゥ」

と予想よりも大幅に外れた返答を返してくれた。

「それと・・・質問があるんだけどしてもいいかな?」

いいよ、歩いてるときに質問してくれてよかったのに、と僕は苦笑した。
お兄さん少しぼーとしてたからね、考え事してたのかなあと思って、とケルヒは言った。
それでも周りの音には敏感なんだもの、凄いねと笑った。

あはは、と苦笑する。
そう、それは僕の悪い癖なのだ。で、質問って?と話を戻す。

えっとねえ、と人差し指を頬につけて

「昨日ギター弾いてたのってお兄さん?」

寝れなくて散歩してたんだ、と説明する。

聞こえてたのかと思いつつ、

「そうだよ、遺品にもらったものでね、練習してるんだ。」

お兄さんの知り合いで誰か亡くなったの・・・寂しいねとケルヒは目を細めた。

「そうだね、亡くなったんだ。寂しいけど僕はその人からギターを教えてもらっていてね、その技術を使うことが彼女に対する手向けになるんじゃないかと思ってるんだ」

生かし続けるのですね、貴方は。と目の前の少女が笑った。

「えっと、君・・・」

今、ケルヒとは違う感覚が感じられた。
それは恨みとか悪いものではなく、純粋な感謝の念で---

「ありがとう、お兄さん。」

とその声で現実に戻る。
楽しかったならなにより、と返す。
うん、楽しかったありがとう、と満面の笑みで微笑まれて僕は少し微笑みを映した。









その夜は緊急集会が開かれた。
僕たちのような傭兵軍務についているものが深夜にも関わらず呼び出されたのだ。

「こんにちはイアペトゥ君。君には違った任務に就いてもらう。」

と着いたとたん開口一番に言われ、僕は個室に案内された。
なにがあったのかなと思考を巡らせようとしたところで
扉が開いた。

「旅人の・・・!」

「うん、こんばんは。」

夜中に悪いね、と言ってイェフトが僕の前の椅子に座る。
君は単独で行動できる技術がある。
だから、ここの周辺を当たってほしい、ということを告げられた。
分かりましたと返答をしてその場に急行する。
私も後から行くよ、とりあえず誰であっても足止めもしくは拘束を。とのことだった。
事情を話せないのは本当に済まない、けれどあと少しの間に話せるだろう、ということも兼ねて。

さて、ここらへんかと周りを見渡す。
静かなほどの森の気配だ。
聞こえるのは虫の声でいつかの人々と同じ景色を見ているような錯覚に陥る。
後ろを振り返る。僕たちの国。
星空に照らされた大好きな---

ザザッという足音が聞こえた気がした。

言った通りなのか、と意識をそっちに向ける。
足止めもしくは拘束と言った。
勿論だ。国の外、しかも深夜でこんな奇妙な行動をとる人間は検閲の対象だ---

「あれ、イアペトゥじゃない、どうしたのこんなところで」

といつもの屈託のない笑みが浮かぶ少女。

「ケルヒ・・・!遊ぶのもいい加減に。夜は特に危ないんだ、何かあったらどうしたらいいんだ」

とついかっとして言ってしまう。
・・・ごめん、驚かせたね。まあいいよ早く戻ろう。と手を引く、
その手に抵抗が混ざる。

どうしたのケルヒに振り返る。

「ごめんなさい、用事があってね・・・」

と言うことばの間に

「その子が依頼の主。」

は、と声を出した。
ちょっと国まで戻ってもらうよ、ポロネのお嬢さん、とイェフトが殺気を出してケルヒに近づく。
殺さんばかりの殺気に

「何をするつもりですか」

と思わず横やりを投げてしまう。
だって短い期間とはいえ彼女たちのことを知ってしまっていたから。
大切な人たちだから、手の届かないところで手に負えない何かが始まってしまうのは嫌だった。

「もともとそんなことをしていたのね、貴方は。」

ふふふっと笑う声が聞こえる。

「ケルヒ・・・?」

「なるほど、君は本当の君じゃないんだね」

名前を付けて、そのように抑えたか、とまた分からないことを言う。
僕は、ここで---

「こんにちは、異国の人々私たちに何か用かな」

イェフトがまた殺気を強くする。
こんにちはポロネの王様。あなたの要をこちら側に置いておこうと思ったけど一足遅かったみたいですねとイェフトが答える。

ああ、苦労したものだよ、と男が笑う。

「うわっ」

と腕を掴んで引き寄せられたケルヒが声をあげる。
こんばんは、とても楽しかったわありがとう王様。
こんな乱暴な迎えなんていらないのに。今帰ろうとしたところよ?
といつもの調子でケルヒは続ける。

もう大丈夫なの?私が暇なときはないのね?
もう飽きてしまったわ。
----終わらせるなら終わらせろ、歴史の立役者
そろそろこの仮面も終わりだ、と声がする。

勿論。その旅人まで呼び寄せてしまったんだ。
勿論終わりにしよう。
さらば、異国人。

男の体とケルヒの体が黒く崩れていく。
あ・・・、と声を出して僕はその光景を見守っていた。
見守る事しかできなかった。







「どういうことですかっ」

城につくなり僕はイェフトに問い詰めた。
もう先延ばしにしていられるか、もう請われゆくものを見るのは嫌なんだと。

「アカシックレコード、それと同等に呼ばれる場所に繋がった人間がいた。」

はい・・・?、と思わず間抜けな声を出してしまう。
君が話せといったんだろう?とイェフトは苦笑いする。
は、はい。続けてくださいと二人城の壁に腰掛ける。
君も討伐メンバーに含まれてるから明日話すつもりだったんだけどまあいいか、と微笑んだ。
君は、本当に仲間、いやこの国が大好きなんだねと笑って。

彼ら---ポロネには叶えたい願望があった。
けれどそれは現代の技術では到底不可能なものであった。
彼らはある一種の能力に秀でた調律師だ。
彼らの試みは数百年に渡っているものと推測される。
とはいっても調律師が親だからと言って子もそうであるとは限らない。
その逆もしかりでいろいろ分かってない面はあるんだけど。
話がずれた。
・・・そう、彼らの能力はものを引き寄せる能力だ。
魔法陣を描いて、望みの物をその場に引きずり出す。
どの場所においても。そっくりそのままのものを引き出すんだ。
叶えたい願望は引き寄せることができないものだった。
だから考え方を変えた。
それをなせるものを引き寄せることにした。
それでーーー全ての知識があるというアカシックレコード。
それに通じた人間をーーー


それを、引き寄せたのか。という僕の言葉を
いや違う、とイェフトは僕の推測を止める。
過去にアカシックレコードと同様な場所に繋がった人間なんかいなかったんだ。
と今までのことを覆すかのようなことを言った。

それじゃあ、今までの推論はなんだったんですか、と半分怒りを込めて聞いてしまう。
僕はまだ未熟だった。
自分が悪かった、続けて下さいと悔し気に顔を俯かせる。
うん、そうだね、とイェフトは話を続ける。
過去にいないならどうしたら良いのか彼らは考えた。
彼らは未来に願いを託すことにしたんだ。
そこからは特性を備えた人間を呼び出す方法をずっと研究しづ付けた。
その結果、彼らは成功したんだ。

彼らはその、アカシックレコードに通じた人間をそばに置いていると?まずいではないですか、と思わずいってしまう。

「結果だけを言うと大丈夫だよ。でもね、彼らの目的を知らずして下手に乗り込んではいけないな。」

彼らの目的、とつぶやく。

「そう、彼らの目的だよ。簡単に言ってしまえば彼らは変わらないものが欲しいんだ」

変わらないもの?と頭をひねる。

「そう、変わらないものだよ。」

この一瞬が続けばいい。そんな淡い奇跡だ。
死の一秒前。変わることのない永遠を、と

「アカシックレコードの人物・・・」

つぶやく、そしてまさか、と顔をしかめる。

そのまさかだろうね、とイェフトはこちらを向いて言った。

「あのケルヒと呼ばれた少女が例の人間だ」

まあ、実際あの性格は上からつけた作られた人格だろうね、ケルヒというのも抑えつけるためにつけられた名前だろうと考察を続ける。

「・・・」

にわかには信じがたい、と僕は答えた。
調律師なんて実際のところこの国には僕と数人しかいないのだ。
それぞれ調律師のできることと言ったら、火をつけたり、僕だったら相手の視界を攪乱させたりといった半端なことしかできないのだ。
そんな桁外れとも見える魔法を起こせるものなのかと考えた。

「起こせるんだよ」

魔法みたいな力はあるよ。
少ないけど私はそういったものを多く見てきたと旅人は言う。

「実際この国は他の国とは違うよね。」

と感心したようにイェフトは言い始めた。

私が見てきた多くの国では調律師とそういった力を持たない人間は大体別れて暮らしていた。
調律師が力を貸す時もあるけどそれは契約に従ってのみだったと。
互いは互いを恐怖しあっていた。
一方は力があり、もう一方はそれに対抗する物を生み出す。

今はここまでで済んでるけど、未来はどうなるんだろうねと空を見上げながら言った。

はーっと深呼吸して
でもね、と言葉を続ける。

アカシックレコード、それに繋がっていること自体が奇跡なんだ。
溢れんばかりの情報をその身で受け止められていること自体が。

「・・・」

僕は一つの疑問がわいた。

「彼らの目的は分かりました。でも、その人間を用意するだけで彼らの願いは叶うのですか?」


その言葉を聞いてうーん、とイェフトは顔をしかめる。
もちろん、それだけでは不可能だったらしい。
だから、彼らはその適した人間を呼ぶのではなく、その能力を持った人という概念を呼び出すことにしたんだ、と話す。

とんでもないことだ、と僕はつぶやく。

「実際彼らは私たちのコミュニティーでも目立っていて危険視されていたよ。だからこそ秘密裏にこう探っていたわけだが。君は巻き込まれてしまったね・・・すまない」

気を取り直し、イェフトはさて、彼らがやろうとしていることだ。と話を再開する。

彼らの目的は永遠の続き。
そのためにそれが可能な人間の概念を呼び出した。
彼らはその人間を媒体としてその中身のみを利用するんだ。







ポルネの居場所は分かっていたらしい。
夜の会話から寝て、昼間に徴集がかけられた。
サリルノはユーレアとの一時同盟も経ていたらしく、ユーレアの歴戦の騎士たちも集まっていた。

ポノネの王様はほかの兵士に任せておいて。
君と私はこっちだよと腕を引かれる。

「イェフトさん・・・」

「何かと縁があるね」

ポロネは彼らに任せておこう、彼らを私は信頼している。

というその言葉を受けて僕たちはポロネの王様の住処らしい場所の裏側へ来た。
イェフトの後ろについていく。
僕がいなくても進んでいく作業。

僕は僕たちのいないところでも出来事は進むし、僕たちが必要というわけでもないのですね、とつい話していた。

「そうだね、みようとしなければ見れないし、しようとしなければずっとそのままだよ」

え、とその言葉を言う前に僕たちは部屋の一室へついていた。
随分と歩いた気がする。

「私はこういうことに特化した調律師なんだよね」

「・・・あなた調律師だったんですね。」

そうだよ、隠してたけどその必要はもうなさそうだし、今までのトラップ全てすり抜けているしで言い訳はもうできないだろうし。と言葉をつづけた。

「え、トラップがあったんですか?」

は、とイェフトが目を丸くする。気づかれてなかったならわざわざ話す必要も・・・と頭を抱える。
君は錯乱系の調律師じゃなかったっけ・・・どうしてこんな相性が良い能力に気が付かないんだよ・・・。とあきれて話す。
昨日だって言ったと思うけど、と前置きして年々調律師の風当たりは強くなってるんだよ、だからむやみに明かさないこと、とありがたい(?)忠告を貰った。

「どうして調律師だからって風当たりが強くなるのでしょう。同じ人間ではないのでしょうか」

君がほかの国を敵と思うのと同じじゃないかなと返される。
でも、君の能力錯乱が何で行われているのかを少し考察する必要があるな・・・とぶつぶつ言いながら次々にトラップを解除していく(解除していってるらしい)。

よっと、終了だ。とイェフトは大きな扉を開ける。

はーと深呼吸してから、箱らしきものをポケットから取り出し耳にあてた。
うん、うん。良かったね、彼にも良い報告が出来るぞと嬉し気に言っている。

「何独り言言ってるんですか」

ちょっと待ってね、と手で僕を制して一言二言話して箱を耳から動かす。

「これは電話と言ってね、ユーレアの人たちが作り出した機械の一種だよ。この箱を通じて遠くの人間とも会話ができる!すごいでしょ?」

そんなものを作れるのですか、と感嘆の意をしめす。
サリルノは技術の進歩が遅いため、こういったことには疎かったが、ルネやユーレアにはこんなものが・・・!と目を輝かせる。
ルネはよくわからない点が多いけどね、と言い言葉を続ける。
さて、ポロネの王様は無力化したってさ。残りはあと一人だね。

とそういって扉を開く。
この先だよと言って歩みを進めた。



---物語の舞台役者は今日も踊る。
選ばれた人は不幸なの?幸福なのかな?
少なくとも私は選ばれなくたって良かったわ。

僕はこうして裏方として動いた。
ポロネの王様を倒すという表舞台には立たなかった。
それは物語の主人公あるまじきと思ったよ。

聞こえる声に僕は問いを返していく。

---読者の特権よ、その場を見れなかった人の特権よ推測することは。邪推することは。
私はそうやって信じたいものを信じることもあなたたちの特権よね。




君、と返そうとしたところで肩に強い衝撃が来た。

「君、大丈夫?ぼーっとしてたけど。」

肩をたたいたのはイェフトだ。
ちょっと声が聞こえた気がしてぼーっとしてしまったんだと答える。
僕は考え事をすると没頭してしまう。もう、僕たちの任務も目の前なのに、と叱咤激励する。

なるほどね、とイェフトは頷く。
ここはすでに彼女の領域内だから干渉されたかな、と言う。
君はもしかしたら錯乱ではなく・・・

「はい」

なんでもない、推測だよと答えて歩いた。
目の前は透き通るほどの青さで、まるで雲の上にでも立っているようだった。
一番奥には人影だ。
その人物はなにもしてこない。ただこちらを見つめる赤い目。
彼女にもう少しで届く、と言ったところでその人影は話しはじめた。

「勝ったのならばあなたたちは正義として見られるのね、そう、こちら側の正義を言う人間はいなくなってしまったから。お疲れ様です。勇者たち。」

君、と僕は声を漏らす。

ポロネの抑えつけの調律もすでに効いてないか。
当たり前と言えば当たり前だね、と声を出してイェフトは自分を落ち着かせる。

「さて、君はどうする。君を引きずり落した人たちはもういないよ、君の自由だ」
とイェフトが問いかける。

自由ね、と笑ってこちらを向く。

「私としてはどうだってよいことなのだけど・・・きっとワタシはこういうでしょう。従うものは主に付き従うものだと」

それは宣戦布告か、とイェフトが殺気を露わにする。
待って、と間に入り込む。
君だって分かってるだろ、君は利用されてただけなんだ。そこに何の愛情もなかった。
それがどうして主なんだ。君の主なんかはいない。と口早に叫ぶ。
そこに落ち着いた声で少女が答える。

「いいえ、彼は主だった。どんな形であれ。何より私はこの場所に呼ばれたんだ、それで十分です」

「何が十分といえるんだ」

「それが世界なのだから」

たまたま私がその場所にいただけなんでしょう。
と諦めたように言う。

「は・・・?何を言って」

なんでそんな、というところでバーンという火花が散った。
こういうのは武力で押さえつけた方が早いんだよ、とイェフトが先制攻撃を仕掛けたらしい。

「待ってください、イェフトさん!彼女は僕の友達なんです!貴方だって関わったんだからもう赤の他人じゃない!そんな人が傷つくのは嫌だ!」

そうやって収まるものが世界であればよかったのにね、という声が聞こえた気がした。

攻撃は一閃。

「君、本当に何者なの」

とイェフトが声をもらす。
あの一閃により、とっくにイェフトは無力化されていたからだ。
僕は多くの国々を旅してきたのに、君ぐらい桁外れな人も見たことがないよ。

「それはそうでしょう、ワタシはだからこそ呼ばれたのですから」

と対象に興味を失ったように剣を下す。

イェフトさん、と横目彼女の様子を見る。
駄目駄目、と両手を挙げて降参のポーズをする。

「良い判断です。私もこれ以上はやりあいたくはないので」

はぁ、無意味だとケルヒ―――いや彼女はため息をつく。

肌がピリピリする。
そうだ、昨日---から離れたときから僕はケルヒとは違う誰かの思いを感じ続けていた。
その力にひれ伏すような感覚。
あまりにも強すぎる恐怖。
それは畏怖と呼ぶことが出来るのかもしれなかった。

「・・・」

と---が自分の手のひらを見る。
身体は粒子となって崩れていく。
契約はすでに終わっているから君もここで終わりだね、とイェフトは‐‐‐に語り掛ける。
だからあなたはすぐに降参を認めて悪あがきをしなかったのね、と---はイェフトに話す。

「そうだよ、でも早かったね。」

君がこうなるだろうことは分かっていたから時間稼ぎ要因を連れてきたのに全く無意味だったねと笑って。

「そうですね、意外と早かった。そう、さっさと終わらせたい。」

不思議な感覚だ。この---はまるで友人に話すかのような感覚を抱いているようだった。
そして僕もその推論を支持したがっている。
少女の終わらせたい、という言葉が心にしこりを残す。
僕はきっとこの少女に何かを伝えるべきなのじゃないかと思った。
それが独りよがりであっても。

「君は終わらせたいのか?・・・何を?」

と少女に精一杯の声を出す。

「ああ、時間稼ぎ要因の・・・めんどくさい人ですね。終わらせたいのはこの出来事です。」

僕はそうとは思わない、と真正面を向いて話す。
きっとこの少女はこれから起こる出来事に絶望しているのだ。
でなければどうして壊したいなど思うのだろう。

「貴方が何の心情をもってそのような言葉を言うのかは分かりません」

ですが、不愉快です。と
彼女の腕が振られた。
眼前にはさっきイェフトを無力化した力の束。
僕はこの剣から目を背けない。僕は世界から目を背けないという意思を託して。

ため息をついて少女が剣を下す。
バカみたいね、とこちらを見る。

「結局君は剣を振るわない」

そうだね、と嘆息交じりに---が返す。
それがすべての間違いだったのかもしれないと目をつぶって口を開く。

「めんどくさい人を呼んだものね、イェフト。彼は錯乱要因なんかではないわ。・・・」

「僕は?」

言わない。自分で見つけなさいな馬鹿者、と嘆息して向き直る
変わらない世界。この世界はこうであるとすべてを受け入れてしまえばたやすいものを、貴方はすべてはねのけるというのねと言葉が紡がれる。
そこにはかつて希望と、いまには絶望に塗りつぶされたのであろう感覚があった。

「ああ、僕は僕が欲しいものを手に入れる。そうしてみせる。」

そうして生きていくのが大半でしょうね。でも未来に待ち受けるものは絶望よ。私はそれを見てきた。
数百年後の未来から、と僕の目を見て言った。
それでもあなたは諦めない。なら---

「では貴方は今から地獄を見続けるというのね。」

「ああ、僕は最後まで諦めない。ずっと世界を見ていよう」

そしてきっとそれが、君への花束になるだろうと精一杯の誠意をもって告げる。

「そっか、貴方は優しいんだ。」

そう言って寂しそうに微笑んだ。本当に馬鹿な人だと辛そうに言った。
ケルヒとして見てる時から苦痛でゆがみそうな人だったのにねと言って。

「君、そこの傭兵さんを気に入ってるのかな、そんなに話すなんて」

とイェフトは---に質問を挟む。

少し、それにちょっと頼る人が必要だったので、と---は返答した。

「頼る人?」

うん、そうだよ。それで、それには曲がったことが出来ないようなあなたがぴったりだと微笑んだ。

---あの予想外の返答も

彼女の右手が僕に差し出される。
そして

「私の力をあげる」

と言ってほほ笑んだ。

「力をあげる?何を言って・・・」

ポロネから引き渡された能力。
その能力の扱いに手を焼いていたのだという。

「私は他人の調律の力をね、ある影響下であれば移動できるんだ」

今がその影響下にある。で、貴方は最後までやり遂げるといった。
だったら、この力を預かっていてよ。・・・が残した最後の力を。
私はもう今のままで手一杯だからさ、と言った。

私はまた未来から過去を見る。
その時にあなたがどんな選択をしたかを楽しみに待っている。
その花束を私にくれるのでしょうと笑って。

でも、君が生まれるのって数百年後だろ。だったら僕だって跡形もなくなっちゃっているんじゃないのかな。と口を挟む。

大丈夫だよ、と---が微笑む。
私には過去を読み取る能力がある。
また、この地にきて貴方の痕跡を探そう。
いなくなったって、貴方が残した影響は残っているはず。
その原型が、オリジナルが潰えても。

その言葉は自分を励ましているようだった。
きっとこの少女はこれからの未来に生まれ、多くの困難と幸福を生きていくのだろう。
僕が死んでいった後に。

そんなことはないよ、と少女がこちらを見て笑う。


「もしかして僕の考えてることがわかるとか?」

「どうかな、でも知らないかな?調律の力はなんだってありなんだよ」

きっと、と目をそらして言う言葉だった。
きっとそう信じたかったのかもしれない。

「・・・」

湧き上がるのは温かさと今までにない力の源。
良かった。これでお揃いね、と笑い少女の気配が薄くなる。
僕はきっと、ここで---

「また今度。名もなき人」

ゆがめた顔が笑ったのが泣き出したかったのか僕にはもう分からない。
けれど僕は今泣いているのだ。
また近くにいた人を失うという体験をした。
短い付き合いだったとはいえ生きてそこに存在していたはずなのだ。
けれど不思議だ、同時に僕は希望をもって微笑んでいるのだから。

ああ、得ることと失うことは紙一重なのかもしれないと自分を納得させる。
僕は未来に希望を託そう、過去を生かして見せよう。

「お疲れさま、ありがとう」

とイェフトの手が肩をたたく。

---これからの困難をどうか照らしてくれますように






それから、イェフトは次の場所に行きますとサリルノを去っていった。
僕は‐‐‐からもらった力と自分の調律、---が言いかけた言葉について考察を重ねる。
何でもありなのだと彼女は言った。
僕はあの時の感情は何かを失いたくない一心であった。
未来をみて絶望したのだと少女言った。

未来が暗いと決まっているということであろうか。
ならば僕はそんな未来の為に何ができるのであろう。
そもそも僕は表役者なのか裏役者なのか。
為せるのか、為せるのか。
そもそも文字でしか残っていない英雄は表役者だったのか。

---そんなものだ、という声がする。

・・・そんなのはどうでもいい。
僕はここで僕の意思をつないでいくだけだ。
それが何を描いたのかを未来の彼女に、・・・後世の人たちにみてもらおう。
僕は未来に希望を夢見る。

「ひとまずはギターとサリルノの国の安定化に尽力を」

偽りなく現実を見よう。
僕は僕になれればいい。
・・・それがきっと祝福だ。

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